チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(Feb. 09, 08)
ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
ブラームス:交響曲第四番
ドヴォルザーク:交響曲第九番「新世界より」
小林研一郎:指揮
今回のヨーロッパ滞在中、オーケストラのコンサートはチェコ・フィルとウィーン・フィルを聴いたのですが、ローカリズムの象徴のような二つのオケを続けざまに聴くことが出来たのはいい経験でした。
それにしてもチェコ・フィルのチケットは安いです。今回一番いい席で聴いたのですが、600コルナ、日本円で4000円程度でした。
しかし、まるで日フィルの名曲コンサートのようなプログラミングですねー。チラシまで容易に想像がついちゃいます。
プラハに到着した翌日の演奏会だったので、集中力が持つのかとても不安だったのですが、ものすごい面白いコンサートでした。特にブラームスにはとても感銘を受けました。
一楽章の冒頭から、今まで聴いたことのない弦の響き。その分厚いのに重苦しくない渋ーい音色に心奪われました。小林先生の演奏会は久しぶりでしたが、相変わらずよく考え抜かれ、そして新鮮な指揮ぶりでした。一楽章の最後、止まってしまうのではないかと心配になるほどテンポを落とし、すごい迫力で楽章を締めくくります。
続く楽章も充実した弦の響きを主体に音楽が進むのですが、そのなかでクラリネットの音がとても特徴的でした。何でしょう、あの音色は。他のオケでは一切聴いたことのない音色なのですが、本当にあれはクラリネットでしょうか?フルートとソプラノサックスを合わせたような音色です。終楽章も一楽章と同様にとても遅いテンポで堂々と締めくくります。
「新世界」も素晴らしいものでしたが、こちらはどうも指揮者とオーケストラでやりたいことにズレがあるような感じで、多少不安定な印象は否めない演奏でした。急にアッチェレランドがかかり始めたかと思いきやガクンとテンポが戻るといった場面がいくつか見受けられました。
この曲に限り、トランペットの往年の首席奏者の方が特別にファーストに復帰していたそうですが、まあその音のでかいことでかいこと。全てB管で吹ききったようですが、その存在感はすさまじいものがありました。ちなみに現在のホルンの首席の方は20代のとても若い方です。チェコからはホルンの名手が無尽蔵に出てきますね。
新世界の終楽章は、ブラームスとは一転して、急激なアッチェレランドで終わりました。曲によって指揮ぶりを効果的に変えていく手腕はさすがです。
巷では「炎のコバケン」と呼ばれ、感情に流されるままの指揮をすると思われがちですが、実はとても考え抜かれ統制された音楽をつくりあげる指揮者だと思います。今回の演奏会でそのことを再認識しました。
実は一度だけ小林先生の指揮で演奏をしたことがあります。そのときリハーサルで色々と教えていただいたのですが、一番印象に残ったお言葉に以下のようなものがあります。
「クレッシェンドって、なんだと思いますか?
クレッシェンドとは、『我慢』なのです。」
クレッシェンドの記号を見るなり途端に盛り上がってしまうアマチュア・オーケストラ(確か曲はエグモント序曲だったと思います)を諌めてのお言葉でした。大きな音で思うまま弾きたい吹きたいという欲求をグッと抑えて終着点まで統制のとれたクレッシェンドを作り上げる、それが大切なんだということを教えてくださいました。今でも演奏中にクレッシェンド記号を見ると、そのことを思い出します。
ルドルフィヌム、ドヴォルザーク・ホール
ブラームス:交響曲第四番
ドヴォルザーク:交響曲第九番「新世界より」
小林研一郎:指揮
今回のヨーロッパ滞在中、オーケストラのコンサートはチェコ・フィルとウィーン・フィルを聴いたのですが、ローカリズムの象徴のような二つのオケを続けざまに聴くことが出来たのはいい経験でした。
それにしてもチェコ・フィルのチケットは安いです。今回一番いい席で聴いたのですが、600コルナ、日本円で4000円程度でした。
しかし、まるで日フィルの名曲コンサートのようなプログラミングですねー。チラシまで容易に想像がついちゃいます。
プラハに到着した翌日の演奏会だったので、集中力が持つのかとても不安だったのですが、ものすごい面白いコンサートでした。特にブラームスにはとても感銘を受けました。
一楽章の冒頭から、今まで聴いたことのない弦の響き。その分厚いのに重苦しくない渋ーい音色に心奪われました。小林先生の演奏会は久しぶりでしたが、相変わらずよく考え抜かれ、そして新鮮な指揮ぶりでした。一楽章の最後、止まってしまうのではないかと心配になるほどテンポを落とし、すごい迫力で楽章を締めくくります。
続く楽章も充実した弦の響きを主体に音楽が進むのですが、そのなかでクラリネットの音がとても特徴的でした。何でしょう、あの音色は。他のオケでは一切聴いたことのない音色なのですが、本当にあれはクラリネットでしょうか?フルートとソプラノサックスを合わせたような音色です。終楽章も一楽章と同様にとても遅いテンポで堂々と締めくくります。
「新世界」も素晴らしいものでしたが、こちらはどうも指揮者とオーケストラでやりたいことにズレがあるような感じで、多少不安定な印象は否めない演奏でした。急にアッチェレランドがかかり始めたかと思いきやガクンとテンポが戻るといった場面がいくつか見受けられました。
この曲に限り、トランペットの往年の首席奏者の方が特別にファーストに復帰していたそうですが、まあその音のでかいことでかいこと。全てB管で吹ききったようですが、その存在感はすさまじいものがありました。ちなみに現在のホルンの首席の方は20代のとても若い方です。チェコからはホルンの名手が無尽蔵に出てきますね。
新世界の終楽章は、ブラームスとは一転して、急激なアッチェレランドで終わりました。曲によって指揮ぶりを効果的に変えていく手腕はさすがです。
巷では「炎のコバケン」と呼ばれ、感情に流されるままの指揮をすると思われがちですが、実はとても考え抜かれ統制された音楽をつくりあげる指揮者だと思います。今回の演奏会でそのことを再認識しました。
実は一度だけ小林先生の指揮で演奏をしたことがあります。そのときリハーサルで色々と教えていただいたのですが、一番印象に残ったお言葉に以下のようなものがあります。
「クレッシェンドって、なんだと思いますか?
クレッシェンドとは、『我慢』なのです。」
クレッシェンドの記号を見るなり途端に盛り上がってしまうアマチュア・オーケストラ(確か曲はエグモント序曲だったと思います)を諌めてのお言葉でした。大きな音で思うまま弾きたい吹きたいという欲求をグッと抑えて終着点まで統制のとれたクレッシェンドを作り上げる、それが大切なんだということを教えてくださいました。今でも演奏中にクレッシェンド記号を見ると、そのことを思い出します。
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by ring_taro
| 2008-03-09 12:14
| クラシックの演奏会