アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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過去の名指揮者の演奏に思いをはせていたのでしょうか

フィラデルフィア管弦楽団演奏会 (Mar. 18, 05)
キメル・センター、ボライゾン・ホール

ラヴェル: 「マ・メール・ロワ」組曲
シエラ: ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲
サロネン: インソムニア
ラヴェル: 「ダフニスとクロエ」第二組曲

クリストフ・エッシェンバッハ: 指揮
アンドレス・カーデネス: ヴァイオリン
ロベルト・ディアス:ヴィオラ

21世紀になってから作曲された二曲をラヴェルではさむというプログラム。
個人的にはノラン・ミラーがラヴェルの両曲のホルンの1stを吹いていたことがとてもうれしかったです。
(彼の現在の肩書きは"Retired Principal"なのですが、どういうことなのでしょうか?ちなみに現在、主席ホルンは空席の状態のようです。)

今までよくわかっていなかったのですが、僕が普段から慣れ親しんでいたのは「マ・メール・ロワ」のバレエ音楽版だったようです。いきなり予想していなかった始まり方だったので、ちょっとビックリしました。

ゆっくりめのリズムに暗めの音色で、エッシェンバッハは実に緻密な音楽をつくっていきます。このような曲ではフィラデルフィア管の木管セクションのうまさが本当に際立ちます。
最後の曲のクライマックスへの持っていき方も本当にうまいです。いつも思うのですが、エッシェンバッハという人はリハーサルの段階で相当に音楽をつくりこんでいるのではないでしょうか。一度リハーサルを見学してみたいものです。

シエラの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲」はフィラデルフィア管とピッツバーグ響が共同で委託した曲だそうです。プエルト・リコ出身のシエラによる曲のソリストを、キューバ出身のカーデナス(ピッツバーグ響コンサートマスター)とチリ出身のディアス(フィラデルフィア管主席ヴィオラ奏者)がつとめるという企画。
ソリストというよりはオーケストラのなかの一部のようにあつかわれている曲で、三楽章のけだるいムードから、終楽章のオケ・ソロそろって疾走する音楽へと移っていくところが一番印象に残っています。

三曲目は指揮者として高名なフィンランド出身のエサ=ペッカ・サロネンによる「インソムニア」。東京のサントリーホールが作曲を委託した曲だそうです。四本のワグナー・チューバが効果的に使われていました。確かに「不眠症」とワグナー・チューバの音色って、なんだか合うような気がするな。

最後は再びラヴェル。「ダフニスとクロエ」は二ヶ月ほど前におなじホールでマゼール/ニューヨーク・フィルの演奏を聴いたばかりなので(そのときは合唱付きの全曲版)、どうしてもそれとくらべて聴いてしまいます。ニューヨーク・フィルのギラギラしたカラフルで官能的な音色に対して、今夜のエッシェンバッハ/フィラデルフィア管はどこまでも音楽的。「マ・メール・ロワ」と同じく暗めのしぶーい音色で進められていきます。

近年のエッシェンバッハの音楽は、時としてその奇抜さばかりが話題になりがちですが、オケに充実した響きをつくりあげていること、こけおどしではない音楽的なサウンドづくりにつとめていることは忘れてはいけないことだと思います。

ところで「ダフニスとクロエ」が終わった直後にちょっと興味深いことがありました。

僕の隣で聴いていた老夫婦のおじいちゃんの方が、演奏が終わるや否や怒りだして「ひどい演奏だ」といって出て行ってしまったのです。往年のフィラデルフィアの名指揮者たちの演奏と比べてしまったのでしょうか。ちなみにプログラムによると、この第二組曲はオーマンディの十八番中の十八番だそうで、彼の在任中ほぼ二年に一度は定期演奏会に組み込まれていたそうです。
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by ring_taro | 2005-03-27 20:20 | クラシックの演奏会