アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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エッシェンバッハのドヴォルザーク、地元紙に酷評される

僕がいたく感動したエッシェンバッハ指揮のドヴォルザークの7番が、The Philadelphia Inquirer紙にものすごくコキおろされていました。("Eschenbach Tries to Plow His Predecessor's Field," March 12, 2005)

音楽評論家ピーター・ドブリン氏によるこの日の演奏会評の要点は下記の二つ。

①音楽監督に就任して一年半のあいだ、なぜ前任者サヴァリッシュのレパートリーばかりをとりあげるのか。ブラームスやリヒャルト・シュトラウスでサヴァリッシュ以上のものができると思っているのか。この日のスメタナやドヴォルザークだってそうだ。サヴァリッシュによる「炎とベルベットを凝縮させたような音楽(a cohesive package of fire and velvet)」に比べると、なんと眠たく啓示の無い音楽であることか。

②エッシェンバッハは確かにクライマックスをつくりあげるのはうまい。しかし曲の最初から最後までをつらぬく内なるビート(a inner beat)を感じさせない。気分でテンポをしょっちゅう変えるし、曲全体が持つ物語がない。

そしてとどめはこの一言。

Structurally, it had no clear game plan.

確かに間違ったことはまったく言っていないと思います。
ええ、まったく言っていませんね。

①に関して言えば、なぜドブリン氏がそこまでサヴァリッシュを評価するのかはわかりませんが。(僕だってサヴァリッシュは好きですが。)
ただ、まあ、なぜわざわざベートーヴェン・チクルスとかやるのかなあ、とか思ってしまうのは事実です。

②も確かにおっしゃるとおり。細部にこだわりすぎるあまり、全体の構造に対する気くばりがおろそかになるというのは、確かにエッシェンバッハの音楽ではよくあることです。(曲によるとは思いますが。例えばマーラーなんかではあまり感じられません。)

ただ、ドブリン氏も言っているように、音楽を盛り上げるのはすごぶるうまいですし、ここぞというときにオーケストラからすごいパワーを引き出すことができる指揮者だと思います。欠点は欠点としておいておき、魅力を楽しむのがエッシェンバッハの一番楽しい聴き方ではないでしょうか。減点法ではなく加点法の聴きかたといえばいいでしょうか。

このドブリン氏の記事はなかなかわかりやすいエッシェンバッハ評だったと思います。

ちなみにドブリン氏によると、フィラデルフィア管の音楽監督に必要なのは「高度に洗練された音楽解釈の能力(possession of a high degree of interpretive sophistication)」であるそうです。エッシェンバッハにはそれがないということなのでしょう。


ちなみに個人的にはエッシェンバッハに対する懸念としては別のものがあって、それは「このまま彼が音楽監督をやり続けたら、フィラデルフィア管はどんどんヘタになっちゃうのではないか」というものです。
これは今のところ漠然とした思いですし、また別の機会にでも。
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by ring_taro | 2005-03-30 17:42 | フィラデルフィア管弦楽団