アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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ノリントンはおもしろい

フィラデルフィア管弦楽団演奏会 (Apr. 1, 05)
キメル・センター、ボライゾン・ホール

ヴォーン・ウィリアムズ: ロンドン交響曲
ハイドン: 交響曲第104番「ロンドン」
エルガー: コケイン序曲

ロジャー・ノリントン: 指揮

オール「ロンドン」プログラム。
つくづくおもしろいプログラミングをするなあと感心します。

演奏が始まる前にノリントンがトークショーをやりだしました。

まず、曲の順番を変更した理由について(当初はエルガー→ハイドン→RVWというまっとうな順番だったのです)、ノリントンは最後に華やかな「コケイン」を持ってきたかったということと、19世紀ヨーロッパでは演奏会のあたまに一番メインの曲を持ってくることが多かったということを説明していました。

この人、五分足らずのトークで10回以上、「19世紀のヨーロッパでは~」って言ってました。

次にオーケストラの配置について、「フィラデルフィアの美しい伝統は評価する」と前置きしながら、今回演奏する曲がつくられた時代には通常ヴァイオリンは両翼に配置されていたのであり、その方が効果的なのだと言っていました。

実際この日は左から 1st Vn, Vc, Va, 2nd Vn という並びだったのですが、それに加えてコントラバスが舞台後方にズラッと一列に並んでいたり、直管の金管セクションとティンパニが一番右にかたまっていたりと、こだわりを感じさせる配置でした。

最後に弦のビブラートについて、19世紀のオーケストラは現代のようなビブラートはしていなかったとおっしゃってました。

というわけでハイドンの弦は徹底してノン・ビブラート奏法。音程の面で相当辛そうに弾いていましたが、でもこの奏法で演奏されたハイドンやモーツァルトってすごく清らかな音楽に聴こえますよね。

それにしてもこの演奏会の実況録音をオケ名を伏せて聴いたとして、フィラデルフィア管と当てられる人はまずいないでしょう。ティンパニも、それで叩かれたら痛いだろーなーっていうすごく硬いバチで叩いてましたし。
そんななか、管楽器は結構普段どおりでした。トランペットも普通のピストンのやつ(多分、C管)で吹いてましたし。やはり管楽器の方が、曲ごとに奏法を変えるというのは難しいのでしょうか。

ハイドンではノリントンの指揮は遊びに遊んでいました。もし実況録音を聴かれたら、聴衆の笑い声が曲のあちこちで聞こえることでしょう。
ながーい総休止を曲のところどころでいれては客席に振りかえっておどけてみせたり、「ほら、ヴァイオリンは両翼にあったほうがおもしろいでしょ」って感じのジェスチャーをしてみたり。
おもしろいなー。

これ、ハイドンだからできるんですよね。モーツァルトやベートーヴェンではここまで遊べないと思います。僕はそんなハイドンが大好きです。

ロンドン交響曲とコケインでは一転、充実した響きを引き出していました。金管は今回のようにひと塊にまとまった方がいい音な気がします。

ロンドン交響曲を聴いて、ああこういう静かな終わり方よりは、コケインの派手な終わり方で演奏会を閉じたかったんだなとわかった気がしました。静かな終わり方の曲では恒例の「フライング拍手」が予想通りありましたし。この曲の冒頭と終わりでは、弦がこれまたノン・ビブラート奏法でロンドンの街の静寂美しく描いていました。

とりあえず、こんなおもしろい指揮者だとは知りませんでした。
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by ring_taro | 2005-04-03 22:02 | クラシックの演奏会