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アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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純粋さと明晰さ

ドーン・アップショウ、リチャード・グード演奏会 (Apr. 26, 05)
キメル・センター、ボライゾン・ホール

ハイドン: ピアノ・ソナタハ長調 Hob. XVI-50
シューマン: リーダークライス Op. 39
ドビュッシー: 華やかな饗宴 第二集
ドビュッシー: 枯葉 (前奏曲第二集より)
ドビュッシー: 喜びの島
ムソルグスキー: 「子供の部屋」より

ドーン・アップショウ: ソプラノ
リチャード・グード: ピアノ

アップショウのソプラノとグードのソロ・ピアノが楽しめるなかなかお得な演奏会。

グードのピアノは実にスリリングですね。ハイドンの一楽章など加速→急ブレーキ→加速→急ブレーキを延々続けていました。なんというか、こう、すごくバネのきいたピアノというか。

アップショウのソプラノはとにかく歌声のクセの無さ、素直さが特徴的です。リーダークライスって曲自体がもうちょっとクセのある曲だったような気がしますが、実に透明度の高い音楽になっていました。

ところでアップショウといえば忘れてはならないのは、ケント・ナガノ/リヨン国立歌劇場管とのカントルーブの「オーヴェルニュの歌」のCD。曲の土臭さはどこかへ吹き飛び、、そこにあるのは澄んだ空気と青い空と緑の丘。あれ、オーベルニュの人々は?見当たりません。てな感じのちょっと異色な美しい演奏です。

閑話休題。
伴奏になるとよくわかるのですが、グードのピアノは実に明るいです。例えばリーダークライスの三曲目「森の語らい」などは、結構シビアな曲だと思うのですが、冒頭から能天気炸裂。カラッと明るいシューマンになっております。

個人的にはこういう明晰なピアノのドビュッシーは大好き。特に「喜びの島」はこうじゃなくっちゃ。グードは恥ずかしながらハイドンやベートーヴェンのイメージしかなかったのですが、ドビュッシーもいいですねー。

最後はムソルグスキーの歌曲集「子供の部屋」より五曲。子供目線の歌なので、アップショウは「お茶目さ」と「迫真の演技」を見事に結合させ、ある意味壮絶な歌いっぷりを見せつけます。無邪気で明るい音楽ですが、そこはムソルグスキー。どこかにイビツさや不穏さが見え隠れするところはさすが。


ところで演奏会後に、アップショウとグードとのレセプションがあったのですが、行ってみたら参加者は8人ほど。もっとちゃんとPRしなさいよって感じです。まあ僕たちは楽しかったからよかったけど。
by ring_taro | 2005-04-29 13:32 | クラシックの演奏会