アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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シカゴ交響楽団をシカゴとフィラデルフィアで聴く

シカゴ交響楽団演奏会 (May 7, 05)
シンフォニー・センター、セオドア・トーマス・オーケストラ・ホール

シュニトケ: 合奏協奏曲第六番、第五番
ベートーヴェン: 交響曲第七番

ダニエル・バレンボイム:指揮、ピアノ
ギドン・クレーメル: ヴァイオリン


シカゴ交響楽団演奏会 (May 11, 05)
キメル・センター、ボライゾン・ホール

ワーグナー: 「パルジファル」前奏曲
シェーンベルク: 管弦楽のための五つの小品 (1909年版)
ベートーヴェン: 交響曲第七番

シカゴからフィラデルフィアへ。はからずもシカゴ交響楽団を追っかけてしまいました。

現地でシカゴ交響楽団を聴いたのは実に10年ぶり。そのときはリッカルド・シャイー指揮でド迫力のヤナーチェクのシンフォニエッタと、不思議な響きのブラームスの交響曲第一番を聴きました。あのブラームスはいまだに謎。あんなに明るくて軽いブラームスは聴いたことがありません。

全然知らなかったのですが、その後オーケストラ・ホールって改修工事がなされたのですね。昔からデットな音響で有名だったようですが。
あれ、舞台後方に座席って昔からあったっけ?新しく取り付けたのかな。

シュニトケの二つのコンチェルト・グロッソは、どちらも1990年代になってから作曲されたもの。特に第六番はシンプルな編成(ピアノ、ソロ・ヴァイオリンと弦楽合奏)と書法の面白い曲です。

バレンボイムのピアノがすばらしい。硬質な音色でズンズン、ザックザックと弾きたおします。ものすごい力強さにもかかわらず、その音の美しいこと!一音一音がクリスタルのようです。イメージとしてはマンフレッド・アイヒャーがプロデュースしたECMのソロ・ピアノみたい。その音があのでっかいシカゴのオーケストラ・ホールを満たしているのです。ここまで圧倒的なピアノを弾く人だったとは。クレーメルの空間を切り裂くような鋭いヴァイオリンも印象的でした。この二人、実に音があっています。

そしてオーケストラのうまいこと。もう、本当にうまい。
驚くべきはその反応の速さ。アクセルを踏んだとたんに最高速度になるスポーツカーのよう。どれだけ強奏してもまだ余裕があるように感じられます。なんの無理も力みも感じさせないのです。そして「ほつれ」や「濁り」とは無縁のサウンド。ホールのせいもあるかもしれませんが、実にクリアな音です。

これはすごい。シカゴの人は日常からこんなオーケストラを聴いているのか。他のオケなんて、ねむたくて聴けなくなっちゃわないかなー。なるだろうなー。
でもそれは幸せなことなのか、不幸なことなのか。

フィラデルフィア公演でのワーグナーとシェーンベルクは、そういったシカゴ響の特徴がよりいっそうでた演目でした。やはりキメル・センターの方がシカゴのオーケストラ・ホールよりまろやかな響きになるのですが、それでもフィラデルフィア管がそれぞれの楽器の音を練りあわせて一つの音をつくっていく感じに比べると、シカゴ響の音の明晰さは際立ちます。ワーグナーの金管のものすごさといったら。。。なんですか、あれ。どうやったらあんなふうに吹けるんですか?

首席ホルンのクレヴェンジャーはやっぱりすごいですよ。うまいだけでなく、どんな局面でも余力を残している様がたまりませんよ。アメリカが誇るもう一人の名手、ニューヨーク・フィルのフィリップ・マイヤーズは「どーだ、オレのホルンすごいだろー」というオーラを強烈に発散させて吹いている感じですが、クレヴェンジャーのホルンはどんなに難しいフレーズでも楽々と涼しい顔で吹いているところがまた違った凄みを感じさせます。

休憩後はベートーヴェン。
しかしまあ、粘るし揺らぐし煽るし、なかなか濃ゆいベートーヴェンですねえ。常にテンポが速くなったり遅くなったり、ザッツはわざとぼかしてみたり。バレンボイムの志向するベートーヴェンはおそらく相当「ねっとり」したものなのでしょうが、オーケストラのサウンドが実にクリアなので、少しもうっとうしくなりません。そう考えると、このコンビはすごくいい組み合わせだったのでしょうね。(バレンボイムが音楽監督なのは来シーズンまでだけど。)

しつこいようですが、オーケストラがうまい。音の増減をまるでステレオのボリュームをまわすようにやってのけます。て言うと、けなしているように聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。純粋に感心しているのです。二楽章の長いクレシェンドとデクレッシェンドで大きなヤマをつくっていく様は見事の一言です。


ところでバレンボイムとエッシェンバッハ。指揮者としての二人の音楽って結構似ているようで、実はまったく違うもののように聴こえます。何が違うんだろう?今度ゆっくり考えてみよう。
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by ring_taro | 2005-05-15 05:17 | クラシックの演奏会