アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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オープニングナイト2006

フィラデルフィア管弦楽団オープニングナイト (Sep. 21, 06)
キメル・センター、ボライゾン・ホール
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モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
チャイコフスキー: フランチェスカ・ダ・リミニ
ショパン: ピアノ協奏曲第一番

クリストフ・エッシェンバッハ: 指揮
ラン・ラン: ピアノ

オーマンディ編曲のアメリカ合衆国国歌から始まったオープニングナイト。こういうところでオーマンディ編のものが使われるところがフィラデルフィア管ですね。

ところでこの合衆国国歌、「歌いづらい国歌」として有名です。最初気持ちよく歌っていても途中でどんどん音が高くなって、一番高くなったところでフェルマータ。この日も最後は全員裏声。

オープニングナイトというものはまあ所詮は「お祭り」ですし、演奏のクオリティについて語るのは野暮というものです。そんなにリハーサルをする時間もないでしょう。それは聴いててよーくわかりまフガフガ。。。

それでもエッシェンバッハは音楽的な妥協は一切なさらない姿勢のご様子。特にフランチェスカ・ダ・リミニではオーケストラを振り回す振り回す。特に地獄のつむじ風の部分では音楽がうねりまくります。終わり方が特にものすごかったです。崩壊寸前までアッチェレランドをしたあげく急ブレーキ。
フィラデルフィア管のシーズンが戻ってきたなー、またエッシェンバッハの音楽が聴けるんだーとやたらうれしくなってしまいました。

そしてそのまま休憩なしでショパンのピアノ協奏曲へ。

エッシェンバッハらしい内容の実に濃い序奏部の後、いよいよ「俺たちフィラデルフィアの」ラン・ラン登場。
この人のピアノはもう「やんちゃ」そのもの。やりたい放題、好きに弾き放題。どう弾くかは完全にその場その時の気分で決めてるんじゃねーかと思ってしまうぐらい気まぐれです。しかもべらぼうに上手い。なんていうのかな、指揮者もオーケストラも彼のやんちゃっぷりをわかった上でサポートし、お客さんもそんな様をいとおしく思い、ラン・ラン自身もそんな周りの暖かさをすべて承知の上でその空気に乗っかってやんちゃを演じているかのような、そんな会場全体を丸ごと包み込む「共犯関係」を感じてしまいました。
まあこれはパフォーマンスの一つの理想型なのかもしれません。個人的には「それでいいのかよ」という思いがいくらかあることは否定しませんが。でも彼は1982年生まれの若手中の若手。これからどんどん円熟していくのでしょう。今は彼の若さゆえのやんちゃを楽しむことにしましょう。

一番よかったのは二楽章。彼の気まぐれな感性が「ロマンス」という曲想にあっているのでしょう。綿々と紡がれる旋律は美しさの極み。エッシェンバッハ指揮による伴奏はどちらかというと厳しくストイックなもので、これが音楽を甘ったるいものにさせていませんでした。

アンコールはマエストロとラン・ランの連弾によるシューベルトの「軍隊行進曲」。ここでもラン・ランのやんちゃっぷりは遺憾なく発揮されるのでした。

(写真は演奏会を聴き終わりディナー会場に向かう上流階級の皆様。)

なお、この日の曲目の拙による解説はこちらこちら
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by ring_taro | 2006-10-05 21:33 | クラシックの演奏会