アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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くたばれユニオン!

そういえばこちらの演奏家評が途中だったことを思い出しました。このタイミングで続きを書くのをちょっとためらいもするのですが。。。


10月7日の演奏会、後半の悲愴については書きましたが、前半のアンドレ・ワッツ独奏のブラームスのピアノ協奏曲第二番についてはまだでしたね。

ワッツのピアノがものすごくよかったです。昨年ベートーヴェンの「皇帝」を聴いた時にはもっと「力づく」な印象だったのですが、この日のブラームスは実に風格あるものでした。力強いピアノを弾く人ですが、一音一音の音をたたせるというよりは、音の塊がグワーっと押し寄せるような感じですよね。(なので昔から彼のベートーヴェンの「月光」の三楽章が大好きです。)

一番よかったのは二楽章でしょうか。エッシェンバッハの凝縮されたオーケストラ・サウンドにワッツが挑みかかってくる感じがたまりません。そしてそれゆえに中間部の解放感が引き立ちます。三楽章も実に美しかったです。このオケの新たなチェロの首席奏者ハイ=イェ・ニのソロも太く暖かい音でとてもよかったです。

そういえばこの曲はどこかで読んだ吉田秀和氏の文章のおかげで理解が深まった覚えがあります。確かアラウ/ジュリーニのレコードを誉めて「四楽章はブラームスの南への、イタリアへのあこがれなのだ」と書かれていたのだと思います。そういれれば、第二主題とかカンツォーネっぽく聴こえてきたりします。(この日のプログラムには「ハンガリー舞曲風」って書かれてましたけど。)そう考えると四楽章の突然の明るさがわかるような気がしませんか?


ところでこのプログラムのオープンリハーサルに行った時にとてもびっくりすることが起こりました。

リハーサルは10時半から1時までで、悲愴→ブラームスの順番でした。で、以前書いたようにエッシェンバッハはドレスリハーサルにも関わらずものすごい綿密なプローベをしていたわけです。当然時間はかかります。

そして悲愴が終わり、ワッツとのブラームス。通しただけでも明らかに1時までには終わらない、どうするんだろうと思っていました。で、四楽章の途中で1時になったわけですけど、舞台袖から人がでてきてリハーサルをブチって止めてしまいました。オーケストラのメンバーは楽器を片付けて引き上げてしまいました。後に残されたのは音抜きで打ち合わせをするワッツとエッシェンバッハとその助手の方。

一緒に聴いていた人たち(まあ、オープンリハーサルに来るのは95パーセントはおじいちゃんおばあちゃんです)はものすごい怒っていました。隣のおばあちゃんなんて"F××k the Union!"なんて叫んだりして。

つまりオーケストラの組合との規定で、リハーサル時間が一分でも超えると追加のギャラが発生するので、オーケストラ側としてはリハーサルを止めざるを得ないということのようです。それにしても、ねえ。。。ワッツは四楽章の後半を一度もあわせないまま本番に挑むということでしょうか?オーケストラの団員は音楽家であると同時に労働者でもあるということなのでしょう。


なんか最近このオーケストラのネガティブキャンペーンをはっているような体になってしまいましたが、それは全くもって僕の本意ではありません。次回からはちゃんと(なるべく)音楽を聴く喜びを書いていこうと思います。

ところでワッツさん、リハーサルでオーケストラパートのみになる度に、手ものとスコアをパラパラめくっては次の自分のソロを確認するということを繰り返してて面白かったな。
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by ring_taro | 2006-10-28 23:39 | クラシックの演奏会