アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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2005年 03月 31日 ( 1 )

フィラデルフィア管弦楽団演奏会 (Mar. 25-26, 05)
キメル・センター、ボライゾン・ホール

ドヴォルザーク: 水の精
バーバー: ヴァイオリン協奏曲
ショスタコーヴィチ: 交響曲第六番

ヤコフ・クライツベルク: 指揮
ヒラリー・ハン: ヴァイオリン

これは実に素晴らしいコンサートでした。
どれくらい素晴らしかったかって、あまりの素晴らしさに次の日にもう一回聴きに行ったくらいです。(まあ、一日目は8ドルしか払ってないのですが。)

バーバーのヴァイオリン協奏曲は序奏なしにヴァイオリンのソロから始まります。この構えた感じの無さがいいですね。実に軽やかな音楽です。

ヒラリー・ハンの魅力もその軽やかさにあると思います。なのでバーバーはぴったりなわけです。一楽章が始まったとたん、屋内なのにさわやかな風が吹いてきたような錯覚にとらわれました。

ハンは自分が弾かない部分はよくオーケストラが演奏しているのをぐるっと見回すのですが、一緒に聴きに行った人が「まるで草原のなかに立っているみたい」と言っていました。うまいこと言いますね。なるほど、草原にたたずみ風を歌を聴いているようです。

二楽章はオーボエの長いソロから始まるのですが、このピーター・スミスのソロがまた良かったです。この人のオーボエはウッドハムズのそれに比べと、実に硬ーい音でそれが時に不満なのですが、この曲にはとても合っていました。(ああ、でもウッドハムズの音でも聴きたかったかも。。。)
三楽章は一転、技巧的な音楽。ハンは完璧に弾ききりました。お客さんは大喝采。

軽やかで屈託の無いヴァイオリン。それがハンの魅力だと思います。アンコールで弾いたバッハの無伴奏など結構ロマンチックな演奏だったのですが、それでも決して重くならず、じめっとせず。

ああ、よかったなー。実にさわやかな気分になりました。
あ、でもこのあとショス6かー。。。

と休憩時間にちょっとテンションが下がりましたがとんでもない、後半のショスタコーヴィチはバーバーを上回るすさまじい演奏でした。

ここまで鳴り切ったフィラデルフィア管を聴いたのは初めてです。オーケストラのテンションがすごいすごい。どれくらいすごかったかというと、クライマックスでコンサートマスターの弦が一本ブチッて切れました。とにかくオケが入れこんでいました。

ハンと同様、指揮者クライツベルクの音楽も結構「軽め」です。速いテンポできびきび進めます。ショスタコの音楽にドロッとしたものとか、ネトッとしたものを期待する人が聴いたら少し不満が残る演奏かもしれません。(特に一楽章。)
しかしオーケストラを操るのがすごくうまいのでしょう。迫力のある音や魅力的な音を適所で鳴らし、そして曲全体を見渡すヴィジョンがあります。

とにかくオケがうまかった。(今更フィラデルフィア管に対して失礼なもの言いなのですが。)
Esクラリネットはサミュエル・カヴィーゼルだったと思いますが、主席モラレスの陰に隠れがちなこの副主席奏者は、今回は完全に主役の座を奪っていました。コンマスのデビット・キムの三楽章のソロも見事。このソロが曲全体のクライマックスへの合図となるのですが、キムを先頭にオケ全体が「それっ」と疾走し始める様は爽快でした。

しかしすごい曲ですねえ。聴きながら危うく取り乱しそうになりました。
こういう素晴らしい演奏を聴くと、もう悪魔がつくった曲としか思えない。

お客さんは大喜び。演奏終了後も興奮冷めやらず、いたるところで「素晴らしい指揮者だ」「また来てくれないものか」といった声が聞こえました。
フィラデルフィア管とはつながりが深い指揮者のようですので(2003年の全米ツアーに帯同したそうです)、また近いうちにこのコンビで聴けることを期待しています。



ちなみにこのコンサートでは久しぶりに弦の並びが

1st Vn, 2nd Vn, Va, Vc

という元のシフトに戻っていました。
しつこいようですが、僕はフィラデルフィア管に関してはこの並びが断然好き!
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by ring_taro | 2005-03-31 20:59 | クラシックの演奏会