アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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2005年 04月 28日 ( 1 )

Music From the Inside Out

フィラデルフィア管弦楽団の団員を追いかけたドキュメンタリー映画、Music From the Inside Outを観てきました。期待した以上の面白さでしたよ。こういう類のドキュメンタリーを観てジーンとくることって、今まであまりありませんでした。

ディレクター/プロデューサーのダニエル・アンカーによると、この映画は "musical essay" だそうです。

団員へのインタビューや私生活の風景、彼らのグループ・ディスカッション、そして実際の演奏風景などで構成されています。ホストやナレーターを入れない、インタビューのときに聞き手の声を入れない、指揮者たちへのインタビューも(かなりやったそうですが)あえてカットと、徹底して「演奏者たち」に焦点を絞った映画です。
実に五年に渡ってこのオーケストラを追いかけたそうで、アジアやヨーロッパでのツアー風景なども観ることができます。

映画は「音楽とは何か」という質問をぶつけられた団員たちが悩んだり、みんなで語り合う光景から始まります。「すばらしい音楽とはどのようなものか、どのようにして生まれるのか」と言う謎を、すばらしい音楽を作り出す側の人たちがまじめに考え込む風景は、演奏する行為の深遠さと、「謎」ゆえに魅力であることを私たちに教えてくれます。

すごくよかったのは、コンサート・マスターのデビット・キムの話。
全米をツアーするソロ・ヴァイオリニストだった彼がオーケストラに入ろうと決心した時のことを語るのですが、そこに彼がフィラデルフィア管の団員と共にシューベルトの弦楽五重奏曲を演奏している映像がオーバーラップするのです。キムの語る「アンサンブルをする喜び」にこれほど説得力を持たせる構成が他にあるでしょうか。しかも曲はこの世に残された最後の花園のようなシューベルトのあのクインテット。

そしてこの映画の終わりの部分。団員一人一人が「あの曲」を弾いたり吹いたり歌ったりするのを繋ぎあわせ、それがいつの間にかエッシェンバッハ指揮のオーケストラによる演奏に切り換わります。なんというすばらしいクライマックス。

上映後は団員たちによる質疑応答がありました。
それによると今回の一週間の上演は「テスト・ラン」であり、この後再び編集し直して全米で上映する予定だそうです。同時にビデオやDVDとしても発売して教育の現場などで観てもらうことを考えているそうです。(DVDが出たら絶対買います!)
映画のいろいろな内情を知ることができましたし、観客も編集などについての突っこんだ質問や注文をしたりして、とても面白かったです。


気になるのは、映画の各所で観られたエッシェンバッハ指揮の演奏風景。これはキメル・センターで観客を入れずに特別に収録したものだそうです。通して演奏したものを抜き出して、映画に収録したそうな。
ということは、エッシェンバッハが指揮するフィラデルフィア管のベートーヴェンやシューベルトやブラームスのまとまった映像が残されているということ。DVDになるときにボーナス・トラックとかで入れてくれないものでしょうか。特にシューベルトはよかったなあ。
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by ring_taro | 2005-04-28 23:39 | フィラデルフィア管弦楽団