アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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カテゴリ:フィラデルフィア管弦楽団( 24 )

僕がいたく感動したエッシェンバッハ指揮のドヴォルザークの7番が、The Philadelphia Inquirer紙にものすごくコキおろされていました。("Eschenbach Tries to Plow His Predecessor's Field," March 12, 2005)

音楽評論家ピーター・ドブリン氏によるこの日の演奏会評の要点は下記の二つ。

①音楽監督に就任して一年半のあいだ、なぜ前任者サヴァリッシュのレパートリーばかりをとりあげるのか。ブラームスやリヒャルト・シュトラウスでサヴァリッシュ以上のものができると思っているのか。この日のスメタナやドヴォルザークだってそうだ。サヴァリッシュによる「炎とベルベットを凝縮させたような音楽(a cohesive package of fire and velvet)」に比べると、なんと眠たく啓示の無い音楽であることか。

②エッシェンバッハは確かにクライマックスをつくりあげるのはうまい。しかし曲の最初から最後までをつらぬく内なるビート(a inner beat)を感じさせない。気分でテンポをしょっちゅう変えるし、曲全体が持つ物語がない。

そしてとどめはこの一言。

Structurally, it had no clear game plan.

確かに間違ったことはまったく言っていないと思います。
ええ、まったく言っていませんね。

①に関して言えば、なぜドブリン氏がそこまでサヴァリッシュを評価するのかはわかりませんが。(僕だってサヴァリッシュは好きですが。)
ただ、まあ、なぜわざわざベートーヴェン・チクルスとかやるのかなあ、とか思ってしまうのは事実です。

②も確かにおっしゃるとおり。細部にこだわりすぎるあまり、全体の構造に対する気くばりがおろそかになるというのは、確かにエッシェンバッハの音楽ではよくあることです。(曲によるとは思いますが。例えばマーラーなんかではあまり感じられません。)

ただ、ドブリン氏も言っているように、音楽を盛り上げるのはすごぶるうまいですし、ここぞというときにオーケストラからすごいパワーを引き出すことができる指揮者だと思います。欠点は欠点としておいておき、魅力を楽しむのがエッシェンバッハの一番楽しい聴き方ではないでしょうか。減点法ではなく加点法の聴きかたといえばいいでしょうか。

このドブリン氏の記事はなかなかわかりやすいエッシェンバッハ評だったと思います。

ちなみにドブリン氏によると、フィラデルフィア管の音楽監督に必要なのは「高度に洗練された音楽解釈の能力(possession of a high degree of interpretive sophistication)」であるそうです。エッシェンバッハにはそれがないということなのでしょう。


ちなみに個人的にはエッシェンバッハに対する懸念としては別のものがあって、それは「このまま彼が音楽監督をやり続けたら、フィラデルフィア管はどんどんヘタになっちゃうのではないか」というものです。
これは今のところ漠然とした思いですし、また別の機会にでも。
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by ring_taro | 2005-03-30 17:42 | フィラデルフィア管弦楽団
2月13日、フィラデルフィア管はリッカルド・ムーティを指揮者にむかえ、資金集めのためのコンサートが開きました。

僕はどうしても都合がつかなくて聴きに行くことができなかったのですが、新聞などを読んだ限りでは大成功だったようです。一連の記事について「南イタリアの申し子~リッカルド・ムーティ」さんがまとめてくださっています。

この街でのムーティの評価は微妙なものがあります。知人のあいだでも「大好きだった(実にブリリアントな音楽だった)」と「大嫌いだった(あいつは自分に酔っていただけだ)」と、両方の意見がありますし。お年寄りとそういうお話をすると、「オーマンディは本当によかったなあ」なんて遠い目をされることもあります。

ちなみにこの街のタワー・レコード、クラシック音楽コーナー担当のおっさんは大の「ムーティ・ファン」。
先日もスクリャービンの交響曲のCDをいろいろと見比べていたら、ガーっと飛んできて、しゃべり倒された挙句にムーティ/フィラデルフィア管の全集を買わされてしまいました。結構高かったんだよなあ。

いわく、「君がお金を節約したいとかそういう目的でスクリャービンのCDを買おうというのならこっち(アシュケナージ)だろうけど、音楽に熱狂だとか感動だとかそういうのを求めるのならムーティだよ。それにこれ、あんまり売ってないんだぜー。ま、一介のムーティ・ファンのいうことなんて、聞き流してくれていいんだけどさ。」
そんなふうに言われて、アシュケナージ買えるわけないでしょう。まあ、確かにいい演奏だったからよかったですけど。でも「熱狂的」ってのはちょっと違うんじゃないですか?(個人的にはムーティ/フィラデルフィア管の魅力は「微温」な感じだと思っています。)

ムーティの特別演奏会の前後にはいろいろと新聞に記事がのったのですが、2月10日のPhiladelphia City Paper紙の記事が一番読みやすくて面白かったです。

13日のコンサートには昨年五月にオーボエのウッドハムズやティンパニのドン・リウッツィ、ヴァイオリンのラリー・グリカといったメンバーがウィーンでムーティと食事をし、また一緒に演奏したいねと話しあったという伏線があったこと、このコンサートではムーティはノーギャラなことなど面白いことを知りました。

また、ムーティのフィラデルフィアという街への愛憎模様についてもいろいろと書いてありました。前任者オーマンディと比較され続けたこと。フィラデルフィアに住もうとしなかったことへの批判。チャイコフスキーやラフマニノフといった派手な音楽ばかりが喜ばれることへのフラストレーション。「アメリカのオケは技術的にはすばらしいが”senz'anima”(魂がない)だ」という発言に彼の苦悩がよくあらわれています。

一番ショッキングだったのは下記の発言。

“In America, the people interested in culture are very few, and they are usually of European origin. The culturally literate are a very small part of society, almost like a ghetto.”

言っちゃうか、そんなこと。
まあ、「この発言のどこかに事実と反するものはありますか?」といわれたら、なんとも答えられないのですが。でもねえ。

ただしこういうところで書かれている発言やエピソードが一字一句正確かというと、そうとは限らないでしょう。そういうことを頭の片隅に置きながら読むべきですね。
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by ring_taro | 2005-03-03 06:33 | フィラデルフィア管弦楽団
すでに何度かちょこちょこっと申し上げていましたが、フィラデルフィア管の2005-06シーズンのプログラムが発表されています。

9月22日のベートーヴェンの交響曲第一番と第五番から始まり、5月20日の第九で終わる来年度のシリーズ。
そう、来年度のテーマは「ベートーヴェン再発見」(Rediscover Beethoven)なのです。九つの交響曲全てをエッシェンバッハが指揮します。他にもサヴァリッシュ指揮による「プロメテウスの創造」あり、アックスのピアノによる「皇帝」ありと、まさにベートーヴェンづくし。(ちなみに今年度のテーマは「ドヴォルザークとその周辺」。)

エッシェンバッハ以外では、10月と3~4月にサヴァリッシュ、1月にデュトワなど、おなじみの指揮者が登場します。(ここらへんはなぜか、おなじみっぷりがN響とだぶる。)

注目は2月のサイモン・ラトル。「来シーズン、アメリカのオケの定演でラトルがふるのはフィラデルフィア管だけ!」なんて少年ジャンプみたいな煽りが宣伝に書いてありました。ブルックナーの第七番、ウォルトンの第一番、ブラームスの第四番など四つのプログラムを指揮します。

他には10月にテミルカーノフがブラームスの第二番、4月にはオスモ・ヴァンスカがシベリウスの第六番を指揮(これが楽しみ!)。

ソリストでは“ミドリ”がエッシェンバッハ指揮でブラームス、グリモーがテミルカノフ指揮でラフマニノフの第二番、ブレンデルがラトルとモーツァルトの第27番など、期待できそうなものが目白押し。

あと、面白そうなところではカウンター・テナーのデビット・ダニエルズがヘンデルのアリア集、トーマス・ハンプソンがエッシェンバッハ指揮の「大地の歌」にソリストとして登場、ジャス・サックス奏者のブランフォード・マルサリスによるヴィラ=ロボス、イベールなどがあります。

ところで演奏会の回数がかなり多くなりました。今年度は定期演奏会がなかった日曜のシリーズや、新企画「ディスカバリー・シリーズ」などが新たに加わります。それ以外にも子ども向けの「ファミリー・コンサート」(これも回数が二倍に増えるんだなー)や室内楽演奏会、その他の特別演奏会が予定されています。

演奏会の回数を増やすと言うのは、いろいろ「大人の事情」的なもののため、やむをえないもののようです。でも、今年度も「さらいきれてないじゃん」って個所がところどころに見受けられたことを考えると、この方向性がいいものかどうか、わかりかねるものがあります。

定期会員は平日の全六回のシリーズで660ドル(二階最前列のボックス席)~54ドル(四階席後方)です。ホールが新しくなったせいか、オケの経営があっぷあっぷなせいか、アメリカのオケのなかでは料金が高めだと思います。ただ、定期会員になると会員証でタワー・レコードが一割引、本屋のボーダーズが15%引き、キメル・センター近くのレストランの多くも同程度の割引と、特典はすごくいいです。
ちなみにまだ学生会員についてのアナウンスはありませんが、2004-05シーズンは全シートで半額でした。

ところでベートーヴェンの交響曲第一番やモーツァルトのピアノ協奏曲第27番は、今年度も定期演奏会で聴いたのですが。そういうダブりとか、あんま関係ないんですかね。
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by ring_taro | 2005-03-03 06:11 | フィラデルフィア管弦楽団
今日はテレビでフィラデルフィア管弦楽団のカーネギー・ホール公演を生放送でやってました。

『ドン・ファン』『四つの最後の歌』『ドン・キホーテ』のオール・リヒャルト・プログラム。

四つの最後の歌をうたった人の涙流しながらの絶唱が印象的。四曲目の出だしって何度聴いてもジーンときますね。あと、汗だくのヨーヨー・マ。

しかし、エッシェンバッハの指揮ときたら・・・。

盛りあがってくると、「どひゃ~!」って時のしぐさをし続けてる感じといったらいいでしょうか。

どひゃ~!
どひゃ~!
どひゃ~!
どひゃ~!

集中できん。
ちょっと、気にしすぎかな。
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by ring_taro | 2004-10-28 12:34 | フィラデルフィア管弦楽団