アメリカはフィラデルフィアに住む“りんたろう”のブログ


by ring_taro
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オープニングナイトについての感想はもうしばらくお待ちください。(多分水曜以降になると思います。)
それまでは小ネタを。

フィラデルフィア管のメーリングリストにはいってらっしゃる方はもうご存知でしょうが、このオーケストラのライブ録音をオンラインで購入しダウンロードできるようになりました。

で、現在期間限定で昨年のエッシェンバッハ指揮のベートーヴェンの交響曲第五番が無料でダウンロードできます。(住所等個人情報を入力する必要があります。)なんか太っ腹ですね。

今聴いているのですが、よく整備されつつも緊張感のある熱い演奏です。ただ、CDとして発売されたバルトークやチャイコフスキーにもいえることですが、実演を聴いた時のドロッとしたうねるようなサウンドが随分すっきりとしたものとなっております。

僕は昨年度全曲やったベートーヴェンは全集を出してくれると期待していたんですけどねー。どうもアナログ人間なのでCDやレコードという形でないと入手したという気になれなくて。(CDでアナログってのも間抜けな発言だな。)
カタログを見るとベートーヴェンは九曲ともアップされているようです。五番以外はMP3形式で$4.99。それ以外では。。。おお、オーマンディのショスタコーヴィチの六番なんかがあるよ!オーマンディやムーティの時代のものをもっと出してほしいなあ。
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by ring_taro | 2006-09-25 22:36 | フィラデルフィア管弦楽団
b0044005_20463186.jpgご無沙汰しております。りんたろうです。

およそ一年、書き込んでいなかったわけです。時々のぞきにきてくださった皆様、申し訳ございませんでした。
この一年いろいろと忙しくてどんどん余裕がなくな。。。いや、やめよう。こんな言い訳、誰も興味ないだろうし。それに週に何度かブログをアップできないほどに忙しい状態なんて、そんなわけありませんものね。ものすごい多忙な身でありながら毎日面白いことを書いている人はたくさんいますものね。頭が下がります。

ここ最近、予想外の人から「実はブログ見てました」「あ、あれ書いてたの君だったの」「いつまで放置してんだコラ」など、温かいお言葉をいくつかいただき、もう一度書き始めようと決心した次第であります。もしよろしかったらまたおつきあいください。

実はなにも書き込まなかった一年の間にもフィラデルフィア管はしばしば聴きに行っていました。昨シーズンの印象深かった演奏会についてはまた書かせていただきます。


さて、今週の木曜、フィラデルフィア管の2006-07シーズンのオープニングナイトがありました。いよいよシーズン開幕です!

僕も三年目にして初めてオープニングナイトに行ってきました。今まではチケットが高額だしラッシュチケットもないしと敬遠していたのですが、セット券で格安で購入できると知り、今回は初参加です。

公演前にタダ酒飲みながら周りの人の豪華な衣装を眺めているというのも、楽しいものですね。時々「行き過ぎ」な衣装のカップルがいたりして。

曲目は「フィガロの結婚」序曲、チャイコフスキーのフランチェスカ・ダ・リミニ、ショパンのピアノ協奏曲第一番でした。(先の二つの記事は一緒に聴きにいった友人への曲紹介を兼ねて書いたものです。)ソリストはフィリーっ子に絶大な人気のランラン。指揮はもちろんエッシェンバッハ。演奏についてはまた後日書きます。

僕は今シーズンの終了を待つことなく日本に帰ります。面白そうな公演はなるべく聴きにいって感想をここで書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。
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by ring_taro | 2006-09-23 21:38 | ひとりごと
参考CD ポリーニ/クレツキ/フィルハーモニア管弦楽団(EMI)

ショパンが20歳の時の作品。まだ彼がポーランドにいた時代のものです。

一楽章。とにかく序奏が長い。ピアノソロが登場するのは実に4分が経過したあたりです。退屈に感じるかもしれませんが、これはもう我慢してピアノの登場を待ち焦がれるしかありません。しかしこの4分間、意味がないわけではありません。この楽章で展開される主題を提示してもらっているのです。この部分で旋律を頭に叩き込み、ピアノソロがそれらをどう料理してくれるのかワクワクしましょう。いうなれば食事前に「今日の食材」を見せてもらっているとでも考えてください。

まあ、要するに料理は始まっていないわけですが。こういった苦行はベートーヴェンの三番、ブラームスの一番などでも要求されます。
ただこの序奏部、スコアを見ながら聴くと幾度も転調を繰り返す様がとても巧みで面白いのですが。

で、ソロにはいってからも長いです。(通常、一楽章だけで20分前後近くかかります。)贅のかぎりを尽くしたかのようなめくるめくピアノ技巧と叙情をお楽しみください。

二楽章と三楽章は真っ当な長さですから、安心してお聴きください。
「ロマンス」と題された二楽章は管楽器が彩り程度の最小限の出番しかなく、ピアノソロと弦による伴奏というかたちで進んでいきます。ちょっとだけ気まぐれに紡がれる美しい旋律を堪能しましょう。三楽章は一転して快活なポーランドの舞曲です。

白状しますとこの曲、個人的に長らく「苦手な曲」でした。序奏部がとにかく退屈だし、ピアノソロが入ってからもショパンを楽しむにはあまりにも長すぎると感じていたからです。しかしポリーニの1960年録音のCDを聴き、その苦手意識をようやく払拭することが出来ました。とにかくこの録音は素晴らしいです。今までありがとう、アルゲリッチさん、ルービンシュタインさん。

このときポリーニは18歳。この録音の後すぐ8年に及ぶ研修期間(雲隠れ)を経て70年代以降一世を風靡するピアニストになるのですが、この時点で完成されているその凄まじすぎる技巧には驚くほかありません。そしてそれ以上に評価したいのは、この協奏曲にまとわりつきがちな気まぐれやセンチメンタルや優しさといった甘っちょろいもんを排したポリーニのストイックな姿勢です。ショパンの小品ならそういった軟派なものも必要かもしれませんが、40分に及ぶこの曲でやられると退屈になってしまうのです。実は70年代のポリーニのショパンに比べるとそれでも結構自由に弾いていると思うのですが、しかし曲全体を貫く強い意志に感服します。

クレツキ指揮のフィルハーモニア管もポリーニをしっかりとサポートしています。特別に何かをしているわけではないのですが、「ああ1960年頃のフィルハーモニア管だなあ」と安心させてくれる響きです。でも「フィルハーモニア管らしい」サウンドってなんだろう?少し薄めの弦のくすみつつも光沢のある響きかなあ。クレンペラーの指揮したものにはあまりないんですよね。カラヤンなんかが典型かな。

ちなみに僕の持っているCDにカップリングされている68年録音のバラード第一番は必聴です。人間として持っていけなきゃいけないいくつかの感情が欠落しちゃってるんじゃないかなあとすら思う、もはや悪魔の所行としか思えない演奏です。
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by ring_taro | 2006-09-21 23:58 | クラシックの曲紹介
参考CD ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団(EMI)

苦難の時に幸せな日々を思い出すことほどつらいことはありません。
あなたの師はおわかりになるでしょう。しかしあなたが私たちの愛の始まりを知りたいと強く望むのであれば、私は涙を流しそして語りましょう。
ある日、私たちはランスロットの物語を読みながら楽しい時を過ごしていました。彼がいかに愛の虜となったかの物語をです。
私たちは二人きりでした。なにもやましい思いなどありませんでした。
読み進めるうちに何度か私たちの目があい、血の気がひくのがわかりました。
しかし私たちを打ち負かしたのはたった一度、ほんの一度のことだったのです。
それは愛する人の口づけを待ち焦がれる微笑みのくだりを読んだとき。
この人は、そう、二度と別つことなどできないこの人は私の震える唇に口づけました。
ガレオットがその書であり、それを書いた人だったのです。
その日はもうそれ以上読み進みませんでした。

この話を語っているあいだ、もう一つの魂はずっと涙を流していた。
私はあまりの哀れさに気を失ってしまった。死んでしまったかのように崩れ落ちてしまった。
    (ダンテ『神曲』より)

この一説はチャイコフスキーが『フランチェスカ・ダ・リミニ』のスコアに記したものです(注)。フランチェスカとその義弟パオロはその密会を夫であり兄であるジャンチオットに見つかり殺され、地獄に堕ちます。そこで二人は吹き荒ぶ嵐のなかを永劫飛ばされ続けるという罰を受けます。地獄を旅するダンテは嵐のなかを寄り添うように飛んでいる二人に興味をおぼえ、フランチェスカからその事情を聞いてあまりの哀れさに気を失うというお話です。

この曲は大雑把にいうと序奏+ABAという形式です。
重苦しい序奏の後、地獄の嵐のパート(A)、クラリネットのカデンツ的なソロに導かれたフランチェスカの語る愛のパート(B)、そして嵐のなかに戻るフランチェスカとパオロと気を失うダンテを描いたパート(A)です。
彼がもう少し若い頃に作曲した『ロミオとジュリエット』に比べて今ひとつマイナーなのは、この衝撃的かつ悲劇的なエンディングのせいでしょうか。それとも題材が『ロメジュリ』の方がポピュラーだからでしょうか。中間部の愛の旋律の甘美な魅力は甲乙つけがたいものがあるのですが。

おすすめのCDは1991年録音のリッカルド・ムーティ指揮、フィラデルフィア管弦楽団のものです。嵐の部分のタイトなビートと緊張感、中間部の甘くそれでいて厳しいカンタービレ、まさにムーティのためのような曲です。フィラデルフィア管弦楽団は金管の能天気な軽さがちょっと気になりますが、弦の美しさに心を奪われます。

ちなみにムーティ/フィラデルフィア管には、こちらも「愛」と「地獄」を描ききったベルリオーズの『幻想交響曲』の録音もあります。あわせてお聴きになったらいかがでしょうか。

その他の録音ではムラヴィンスキー/レニングラード・フィルがいいです。録音だけでなくライブのDVDもでていて、これがとても面白いです。晩年のムラヴィンスキーの指揮は(チャイコフスキーの五番やショスタコーヴィチの五番などでは特に)もうほとんど指揮とはよべないような両手をなんだかひょろひょろしてる感じのものなのですが(まあ、そのちょっとした指のニュアンスからオケの音がグワーッと変化したりするのがたまらなく好きなのですが)、『フランチェスカ・ダ・リミニ』はさすがにやる機会が少ないのか比較的しっかりとした指揮ぶりです。なんだ、ちゃんと指揮できるんじゃん。

フィラデルフィア管の豊かな響きに比べ、よりストイックで険しい音楽となっています。フランチェスカとパオロの苦行を体感したいのならこちらかな。まあ冗談はさておき、クラリネット・ソロの独特な音色の魅力はちょっと他の演奏では聴けないものです。

余談になりますが、ロセッティに『パオロとフランチェスカ』という絵があります。中央部のダンテとヴェルギリウスを挟み、左には本を膝に口づけをかわす姿が、右には寄り添うように地獄をさまよう姿が描かれています。ものすごく素敵な絵ですし、機会があったらご覧になってください。曲により愛着がわくはずです。そういえばウィリアム・ブレイクにも同じ題材の版画があったな。確か気を失うダンテとつむじ風のなかに戻っていく二人が描かれていたはずです。


※注 上記の引用は私が英訳を自由に和訳したものです。そういった事情に加えて私の英語力と文学的センスにはかなり問題があるので、興味がある方はぜひ原典や出版された和訳をあたってください。
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by ring_taro | 2006-09-20 17:10 | クラシックの曲紹介